おはよう

挨拶 CEO

若松湯

湯、マーブルに溶け出す

11月の匂いがした。それはおれの記憶の中だけでの話だけど、ガツンと強くて甘い果実の匂い! そういえば、秋から寒い冬に替わる11月も、夜が明ける手前の空の色も、江戸から迎えた明治の初めも、赤色と青色の血管も、ぐちゃぐちゃに混ざり切る前が一番ドキドキしていて美しい。6/21/2018訪浴

仕事終わりの疲れた身体を癒すために、途中下車でもなく少しだけ折り返して着いた北浦和。西口から徒歩7分程度歩いたかな。飲み屋、パチ屋、スナック、ケバブ屋、交差点、コンビニ、駅前のたった一点に集中した様々な喧騒を抜けると、頼りない街灯が疎らに数本だけ並ぶ道に繋がる。帰宅時間だからか想像以上の人通りはあるのだけれど「ふれあいロード」という名前が物々しい響きに聞こえてくるレベルの薄暗さでこれは電灯の故障か何かでだよねと確かめたい気持ちを抑えつつ歩を進めると、そこに刹那、煌々と現れる「ゆっ

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何???? 取り敢えず、ここいらでは長めの23時閉店に惹かれて訪れたわけだ。入ってみることとしよう。入らない選択肢などない。行くじょ!

外観から少し変わっている気もしたが案外普通なのかこういうの。煉瓦造りのマンションのような一角。隣のランドリーで洗っていたおばちゃん、あなたの生活の一幕に土足で踏み込んでしまったようでどうもごめんなさい。

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長めの暖簾をくぐると、11月の匂いがする(主観)。どこかで嗅いだことがあるような、先輩の家のベリー系のチャンダン香?修学旅行先の古びたデパート?の匂いがする。ひとの嗅覚は最も記憶に結びつきやすいと聞くが一向に判然とする気配はなかった。キシキシと木板の床を歩く。昭和レトロ、とは一見思わぬ、本当に小さい頃行った友人の実家:アパートやマンションを思い出す(自分は平成生まれなので)。冷蔵庫を覗き見るが瓶の牛乳はなかったよう、ほほう・・面白い。フロントで430円を丁寧に支払うと、ロッカーの鍵を取るよう促されるがなんでこれ奇数と偶数で分けられているのだろう。少しの逡巡とまた、釈然としない気持ちのままその内ひとつを手に取り、脱衣所へと向かった。

ああ〜〜なんかすごくいい!またいつもと違った心象だ。毎度お馴染みのこれ。なんせいろんなタイプの椅子がある。親切心なのか!座りたい!座って湯冷まししたい!キィと与えられたキーでロッカーを開け荷物と衣服を具に投げ入れると浴室に一礼してドアをひらく。・・・衝撃!茶色の煉瓦タイルの敷かれた床!壁!う、美しい!完全に女湯と独立された個室の作りです。目の前には紺色ベースのタイル壁、上から水が一面に沿うように流れ落ちている!なんだこれ!美しい!美しいぞ。触ってみたけど確かに水。

浴槽は僅か二つ。僅か、と書いてしまうのは幾分か心苦しいがそれも正々堂々の心意気、しかと受け止める度量を持っての男だ、おれは。片側にはジェット三機、もう片側はバイブラとなっていて、どちらの湯温もやや熱め。まずは持参した花王ホワイトで頭のワックスを落とし、2度目髪で泡立て顔〜全身を泡まみれにして、前回学んだ立ちシャワーで洗い流す!(今回は自分の他に一人お湯に入ってるだけだったので実行してしまったけれど、マナー的にもどうかとは改めて思うので次回から考えます。良心の呵責) 案の定出たあと髪バッサバサになるのだけれど。

湯に入って思う、水風呂はただサウナーを整わすためだけにあるのではないと。壁を伝う水を見ながらの湯浴みの悦に浸りつつ、正直あまり長くはいられないわこれ!カランの水を浴びて小休止を挟みながら至福のひとときを楽しんだ。ここで結局思ったのは、上でもナルチズム満載に語ってたように「マーブルって美しい」っていう総論ただひとつなのだ。このレンガタイルひとつひとつも濃い茶色、薄い茶色、赤っぽい茶色、茶色っぽい赤、薄ら白くなった茶色、そんな色々があって、それぞれが組み合わさって壁や床を成しているし、水が伝い落ちる正面の、一見紺色の壁だって黒や白のタイルが混じり合って出来ている。ここの銭湯がなぜ、他と一線を画しながらレトロな情緒を醸しているのかといえば、平成初期の、昭和の残り香をうまく混じり合わせながら生まれたノスタルジアを含有しているからだと思うのだ。もちろん清掃は行き届いている、ただ、古さから入った罅や缺損、それがリアルでそう思わさせざるを得ないのだ。なんと美しい、おぞましいほど耽美なぐるぐるなんだ!時空の隔たりも含めておれはそのマーブルを愛さざるにはいられなくなった。

身体を拭いて、ぱぁと脱衣所へ上がる。意識が朦朧とする前に出られてよかったと胸を撫で下ろす。あの匂いに包まれる。トリップしたような不思議な感覚が確かにある。扇風機を回して、椅子に腰をかける。あの匂いに思いを馳せる。・・・ん?コンセントのところに虫除けみたいな芳香剤が付いてる。鼻を近づけてみると、匂いの発信源はどうやらこれのようだ。え、おれの記憶のやつはじゃあ、何? なんなんだ?一体?脳内にマーブルが侵食してきた瞬間だった。まじでなんの記憶だ?11月?蚊いる?

おれは湯冷めを促すように

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くりと服を着て、フロントへ向かい、濃いカルピス(100円)を買って「濃

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!」なんて思いながらそれを胃まで流し込んだ。

時間もあったのですこしだけ回り道をして帰ったが、銭湯の裏側にはたくさんの薪と釜があって、初めてこれをみたおれはとても嬉しい心持ちになった。

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いえーい!いやおーい!わーい!

 

まとめ

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若松湯

埼玉県さいたま市浦和区常盤10-10-15

北浦和駅から徒歩7分

15:30-23:30 水曜休み

430円

浦和区常盤 若松湯 || さいたま市浦和区周辺、北浦和駅・与野駅 周辺の銭湯です。

 

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北浦和の駅前通りの賑やかな、錯綜する喧騒もマーブル模様。おれの明日もきっとそうだ!と、とても愛しく思えたような・・このぐちゃぐちゃな匂いの記憶も、確か6月に行ったこの銭湯の匂いだったっけな、てことで収まるといいのだけれど

 

 

 

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正解は「たり」でした 

随想録は続く