おはよう

挨拶 CEO

鹿島湯

静けさの中に灯る最大火力のともし火銭湯

日がな一日とても涼しかった。個人的にすごく精神的につかれた1週間だったので、これは神様のくれた週末のご褒美かと感じた。カラッとした陽気に、呼吸をむつかしくする風、欠けた月にかかる雲、肌寒いくらいの夜になって、週末を迎えたぼくがたまたま埼玉県にいてたまたま銭湯に行こうと思っているだなんて、なかなかこの条件が揃うことはない。訪浴8/17/2018

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この日訪れたのは、浦和駅から15〜20分ほど歩いた先にある「鹿島湯」。たどり着くまでいくつかの交差点を突っ切りながら、県庁を経由するのだが、その周りはいやにしんとしていて涙が出そうになるほど心地のいい静寂。メンタルいかれているわけではないと思うのだけど、上述の通り、あまりにこの日はいい気温とコンディション(あくまで環境の)だったもので、その相乗効果の妙を肌で感じながら得体の知れない懐かしさというか湧き出てくる名のない感情にじんときて瞳を潤ませたりえずいたりしながら歩き通した。最近なんだかんだ暑くって、空気と自分の境界がどんどんどんどん溶けていってる感覚であったが、こう涼しい日というのは確かに境があって自分の肌の内側に輪郭、というか、じぶんが絶対存在している温度を感じることができた。存在している自分の意義とか雲がかったおぼろげな月はここから果てしない距離の先に果たして存在しているのかとか未来とか将来とか握った手のひらに感じる冷たい指の感覚とか、感じたり感じなかったり。正直、自分でも何いってるかよくわからないのだけど。

静寂の先には住宅街が広がり、見慣れた看板!ドライブインと書かれているのも新鮮に感じて、町との対比:白黒の地図上に色彩の絵の具が垂らされたような感覚を覚える。週末金曜日のせいかテラスがそれとなく若い人達で賑わっていたー。

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そのほぼ裏側に銭湯はあった。さいたま市もどこでもタバコが吸えるわけではない、銭湯の前にも喫煙所はなく、こういう時に隣のコインランドリーが優しさをみせてくるわけだ。ナイスレトロ!非常に肩身を狭くしてぷかー

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して、銭湯の門を開けるとフロント式。あがりの先におばあちゃんが頬杖をついている、台には猫が横たわっている、そんな素敵なのんびりとした光景。過剰なポスターやポップが張り巡らされて椅子や机が並んでいて、diyの休憩所に店の配慮を感じたりして。貸しタオルは20円。固形石鹸は中に常備されているとのこと。眠り猫を一撫でして男湯への暖簾をくぐる。中にも相変わらずの自社広告、「ホームなのにアウェイ」。確かに市民全体がレッズを応援しているこの地で鹿島を名乗るのはさぞ大変なことなのであろう…!がんばれ! なんて思いつつ、辺りを見渡すとベンチがあったり湯上りに裸でもここでゆっくり出来そうだ。

浴場はオーソドックスなつくりである!4列のカラン、外側がシャワー付き。浴槽は3つ、バイブラの浅い風呂、マッサージ水流付きの深い風呂、そして薬湯だ。まず風呂椅子を洗い流すために熱湯の蛇口をひねる(正確には押す)わけだが、めっちゃくちゃ熱い!赤と青を同時押しで風呂桶に溜めても熱!!ってなるくらいに熱いお湯が出てくる。これは風呂も相当の熱さで来やがるのではないか、という心配をしたがそれは杞憂でとてもぬるく気持ちよく入れる温度、これは夏だからなのであろうか、ゆっくりしてほしい気遣いが、おもてなし精神がこんなところにも感じられる。今日が涼しいから、それも絶妙なバランスなのである。しばーらくゆっくり入っていられる。この日の薬湯はレモン湯で、レモンというより懐かしいなにかの入浴剤の匂い(多分それがレモンなのであろう)。この薬湯はさらにぬるめの設定。入って、む?と思う温度、体温くらいだろうか、最近流行りの不感入浴とやらを敢えて取り入れているのだとしたらかなりやり手だ。これも得てして絶妙なのだ、ずっと入っていてものぼせる事はないだろうって実際長く浸かっていると、顔にいつの間にか汗をかいている。これって最高のリラクゼーションなのよ。出た時の疲労感や火照りとかウハアーっていうのもなくてでも確かに体がポカポカしているような。生憎この日は涼しかったために温度を求め別の浴槽でしばらく温めなおすことにしたのだけど。

常連のおじさんに話しかけてみる。転職してから業界の影響もあるのだろうが人と話すことが目に見えて減った。机はパーテーションで区切られチャットがコミュニケーションのメインツールだったりする。話すことが好きな僕にとっては福利厚生なんかより話す機会だったり話せる同僚が喉から手が出るほど欲しかったりするわけで無い物ねだりなのだろうけど世の中うまくいかないもんだなあなんて思っている最近だ。面白至上主義のくせに話し下手になっている実感があって切ないのだ。その日の銭湯は空いてもいたので、おじさんは快くというかおじさん自身がノリノリでおれと話をしてくれた、これが久しぶりにめちゃめちゃ嬉しかった。この地区の昔と今の話、銭湯の話、鹿島湯についても饒舌に話してくれた。いつもはほうほうと頷くばかりの僕も、相槌の隙間に会話のボールを投げ返すことが出来たしおじさんは一方的にならないように考えて話をしてくれる人だった。銭湯はこれがいい。どんなに怖い人だって究極的に言えば、裸だ。裸の人間がお互い同じお湯の中にいて、ただ話しただけでそれ以上に恐怖するシチュエーションなんて起こりっこない、ぼくには想像できない。シカトされたらそれまでで、器もちんちんも小さいなコイツくらいに思っとけばいいだけの話だからだ。浴槽のヘリに腰かけたりたまに水を浴びたりしに行きながらしばらくおじさんとおれは話していた。この日の銭湯の温度がぬるかったことに感謝した。

壁は水色だが梁や柱は黄色に塗り替えられていてとてもポップな空間で、真ん中の壁からひょろりと街灯のような照明が伸びている。壁の絵は、どこかの絵師さんがライブペイントで描いたものらしい(脱衣所に張り出されてる新聞記事で知った)。右隅の方に、判じ絵のなぞなぞコーナーがあってこちらの問題は

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何を表しているでしょう?って感じだったのだけれど、その下に、「風呂(女湯の答え)」と書いてあって、これ生涯かけて問題を見ることが出来るのかなあっていうのが素朴な、本当に素朴な疑問であった。仮にパートナーと来ていたとして、自分が答えを知っていて問題を聞くっていうのはどういう状況なのだろう。人生は難しいことばかりだ。ちなみにぼくの予想する女湯の問題は「上は大水、下は大火事なーんだ?」とかだと思ったんだけど、判じ絵の問題なのかなあ。女性の読者のあなたはぜひ銭湯へ行って検証して、教えてください。ちなみに男湯にあったこの判じ絵の答えは「湧いた(わ板)」だと思います。合ってるかな?

最後におじさんは脱衣所で会った時に小銭をぼくに渡し(何度も断ったのだけど話しかけてくれたからと)、そのお金でぼくは牛乳を買った。これまで生きてきた人生の中で一番うまい牛乳になったと思う。お店お手製の休憩所で瓶を空にし、ふあーと色んなことに思いを馳せながら帰った。鹿島湯は経営者が代替わりしホームページやらツイッターやらインスタやらをやったり、銭湯の中でライブコンサートを企画したり鋭意バリバリと経営中とのことなので、しばらく動向をチェックしてようと思います。自分もバンドやったりするのでここで企画打てたらそんな幸せなことないだろうな。

 

まとめ

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鹿島湯

埼玉県さいたま市南区別所3-3-10
(国道17号沿いスターバックスとなり)

水曜 第二土曜やすみ

15:00-22:00 (土 15:00-20:00)

さいたま市南区 鹿島湯公式ホームページ

 

最近は若い人の銭湯への関心が高まってきてると話したおじさんもおっしゃっていた。自分含め(若い中に含めていいかわからないけど)、確かに若い人も遅くからたくさん入ってきた印象だった。きっと効果的な宣伝のおかげでしょう!!! 外的要因もあったものの物凄いポテンシャルを持ったとても良き銭湯でした

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今回はいつもにも増して自分語りが多くなってしまった気もするけれど、じぶんにとって感受性ガバガバの刺激的ナイトにこの銭湯にこれたことが不思議な巡り合わせのようにも感じられてとても良かったものだから盛り込みすぎてしまった。そもそも、銭湯を広めようって目的でブログつけていませんしね

良ければ、ぜひ夏の涼しい夜にいったほうがいいっす